早く気付けば、それだけ早く対応できる
不良の発見が遅れることでその影響がどう拡大するかを理解するため、パイプや異形材の押出成形で実際によくある事例を考えてみよう。ある製造業者では、担当作業者がわずかな外観不良に気付かず、そのまま成形品を12,000フィート近く生産してしまった。この問題は、成形品が切断・梱包され、保管場所へ移送された後のオフライン検査で初めて発見されたため、押出ラインは数時間にわたり仕様を外れた状態のまま稼働し続けていた。
インライン計測技術を導入していれば、この問題は即座に検出できていたはずだ。最新のインライン計測システムは、生産ライン上で直接、製品品質を継続的に監視し、寸法異常や表面欠陥をリアルタイムで検出する。工程管理の基本原則は単純である。つまり、異常を早く検知するほど、迅速に是正措置を講じ、無駄を最小限に抑えることができる。
上記の事例では、不良を見落としたことにより、12,000フィートのスクラップが発生し、1シフト分の設備稼働時間がすべて無駄になった。当初の生産目標を達成し、顧客の納期に対応するため、同社は当該ロット全体の生産をやり直さなければならなかった。その結果、必要な稼働時間、電力、圧縮空気、労働力は実質的に2倍になった。こうした直接的な経済的損失に加え、追加稼働によりエネルギー消費量と二酸化炭素排出量が大幅に増加したことで、本来不要な環境負荷が生じてしまった。これは、今日の企業が掲げるサステナビリティ目標にも反する。
立ち上げ時の不良を減らし、早期に品質を安定させる
あらゆる押出工程で最も重要かつ不安定な段階は立ち上げだろう。生産開始直後の製品は、まだ成形が不十分で不安定な状態にあるため、できるだけ早期に正確な寸法仕様を達成できるようにしなければならない。この立ち上げ期間中、作業者は、溶融温度、圧力、金型の調整、ライン速度のバランスを取りながら、複数の複雑な設備設定を同時に最適化することが必要だ。
この際、リアルタイムのデータがなければ、調整作業は実質的に手探りで行うことになるため、確認は、製品の冷却・切断後に手作業で行う測定に頼らざるを得ない。このような試行錯誤的なやり方では、立ち上げに時間がかかり、大量のスクラップが発生し、貴重な設備稼働能力が無駄になる。
インライン計測を行えば、押出ダイや冷却槽の現場で、製品寸法の測定結果を即時かつ継続的に取得できる。製品の肉厚の過不足や不均一を即座に確認できるのだ。温度や圧力などの工程データとリアルタイムの寸法データを組み合わせて把握できるようになるため、迅速かつデータに基づいた設備調整が可能になる。
例えば、大量の材料を投入する厚肉パイプの押出成形では、工程安定化までの時間をわずか数分短縮するだけでも、かなりの量の材料を節約できる。インライン計測を導入することで、立ち上げ1回当たりのスクラップを約30フィート削減できることが実証されている。数週間から数か月にわたる生産や製品切り替えサイクルを繰り返す中で、こうした材料の無駄や設備稼働時間の削減が積み重なれば、生産ライン全体の収益性と生産量は大幅に向上する。
