「ヒューマンインザループ(HITL)」こそが現実的モデル
完全自動化された「ダーク」施設に関する報道では、ロボット運用における人間の関与は、技術が成熟するにつれて不要になる一時的な補助手段であるかのように語られることが多い。しかし、実際の運用実績はそれとは逆の方向を示している。ロボットシステムの導入で最も高い信頼性と強靱性を示すのは、人による監視や例外処理を必要に応じて組み込むことを前提に設計されたシステムである。
ロボットシステムは、対象物が一般的なばらつき範囲に収まる場合には安定して動作するが、例外的なケースが生じると機能不全に陥ることがある。例えば、ラベルの位置ずれ、へこみのある段ボール箱、グリッパーが単品と認識してしまう複数商品の梱包、あるいは箱ではなく袋に入って返品された商品などだ。問題を認識し、適切な対応を決定し、その決定をワークフローに反映させるという能力において、人間は現在のいかなる自動化システムよりもはるかに優れている。
ロボットシステム全体の例外処理を管理する作業者を1人置くことで、処理能力は1人分の手作業の数倍になる。同時に、継続的改善活動に活用できる例外データも整理された形で生成できる。システムを適切な設計で導入すれば、ロボットが対応できなかったケースやその理由に関するデータをこのように蓄積できるようになる。これは成果として非常に重要だ。
インフラとしてのロボットシステム
インフラとは何かを考えてみると、ロボットシステムもまさにインフラであることが分かる。インフラは、監査を通じた検証が可能なものであり、統計的工程管理(SPC)、故障モード影響解析(FMEA)、予防保全(PM)といった手法に基づいて管理され、全体への貢献度によって評価されている。ロボットシステムもこうした評価基準を満たせば、すでに施設内で稼働しているコンベヤ、ラック、倉庫管理システム(WMS)と同様に信頼できるということになる。
インフラと同様に、ロボットシステムの価値も、工程全体の構成要素を一つずつ自動化していくだけでは十分に発揮されない。例えば、ピッキングを自動化しても、梱包が手作業のままであれば、下流工程で滞留が発生する可能性がある。同様に、搬出工程だけを自動化しても、搬入工程を見直さなければ、ボトルネックが単に別の場所へ移るだけだ。また、別のメーカーが提供する部分ソリューションを追加するだけでは、保守スケジュールが異なる別のデータモデルを新たに抱え込むことになる。
重要なのは、ロボットシステムを実験的な取り組みではなく、インフラとして位置付けることだ。そして、この考え方はシステムの構想段階から適用すべきだ。個々のロボットを単体の購入品として評価するのではなく、ソフトウェアによって統合的に管理される生産プラットフォームや物流プラットフォームとして捉えることがポイントだ。このようなプラットフォーム上なら、人間、ロボット、既存の設備を一体的なワークフローとして連携させ、現場状況の変化に柔軟に適応させることができる。
そのすべてを支えるのは、システムを流れるデータの質だ。検査結果、例外発生率、処理能力、サイクルタイムなどのデータは、メーカーごとの個別のダッシュボードに留めるのではなく、プラットフォーム全体で共有すべきだ。こうしたデータが自由に流れるようになれば、工程全体における根本原因分析などが可能になる。
実力評価のポイント
現在、ロボットシステムが証明すべきは、もはや「可能性」ではなく「実力」である。したがって、ロボットシステムを評価する際には次の点に留意すべきだ。
- 自社の現場に近い施設や条件において性能を発揮することが実証済みで、かつその性能が監査可能で、実運用レベルに達しているソリューションを購入すること。
- 他の資本設備と同様に、信頼性データの提示を求めること。
- 人の役割を、単なる代替手段と考えず、最初からシステムの設計に組み込んでおくこと。
- 個々の部分ソリューションについて、それが組み込まれるワークフロー全体に照らして総合的に評価すること。
ロボット産業は長期的には順調に推移するだろうが、今後数年の間に、産業用途で求められる実証レベルをクリアできるメーカーと、そうでないメーカーの選別が起こることになるだろう。
