DXで成功するには
データ照合作業の削減に成功した企業では、DXへの取り組み方が異なる。第一に、生産における重要事象を明確に定義している。部品を「生産完了」とみなすタイミング、スクラップを記録するタイミング、手直し品の管理方法については、関係者全員が共通の認識を持っている。第二に、デジタルシステムの設計が部門横断的なチームで行われている。製造エンジニア、品質管理責任者、財務担当者が、それぞれの事象をどう解釈すべきかについて異なる視点を持ち寄り、設計に反映させる。最後に、デジタルシステムの設計は、製造工程を単純化したデータ構造に無理やり当てはめるのではなく、実際の製造工程に合わせて行っている。システムが実際の生産活動を正確に反映していれば、データの矛盾が生じることは大幅に少なくなる。
リーダーがやるべきこととは
製造業におけるDXは、今後も加速し続けるだろう。人工知能、自動検査、そして「つながる」サプライチェーンにより、収集される運用データはさらに増加することになる。製造部門責任者にとっての課題は、単にデータを収集することではなく、データの解釈について、組織全体で認識を統一することだ。ダッシュボードの数が多いからといって、その工場が必ずしもDXに成功しているとは限らない。製造工程、品質管理システム、財務報告がすべて同じ状況を反映している工場こそが、真の意味でDXに成功しているといえる。あらゆる要素がうまくかみ合ったとき、デジタルツールはようやくその真価を発揮する。具体的には、より明確な洞察が得られるようになり、意思決定がスピードアップし、予期せぬ事態の発生は抑制できる。そのような体制が整うまでは、高度に自動化された工場であっても、製造部門の責任者なら誰もがよく知る例の作業に時間を費やすことになるだろう。つまり、データ照合作業だ。
