21 CFR 820.100およびISO 13485:2016に基づき、監査記録を整えるだけでなく、患者を守ることにつながるCAPA(是正措置・予防措置)システムを構築するための実践的な仕組み
押さえておきたいポイント
- 医療機器分野において、持続的に機能するCAPAを実現するには、厳密な根本原因分析、システム全体にわたる影響範囲のレビュー、有効性の検証、部門横断的な責任体制が必要である。
- CAPAの有効性は、対応項目が完了したかどうかだけで判断するのではなく、不良率、苦情の傾向、不適合件数、監査結果などの客観的品質データを用いて検証する必要がある。
- CAPAをシステム全体の観点から検討することで、同じ根本原因による再発や患者への危害が生じる前に、異なる製品、工程、施設にまたがる関連リスクを特定できる。
本シリーズの第1回では、21 CFR 820.100およびISO 13485:2016に明確な規制要求事項が定められているにもかかわらず、医療機器メーカーでCAPAシステムが繰り返し機能不全に陥る理由を検証した。その中で、よくある失敗パターンとして、表面的な事象にとどまる根本原因分析、有効性検証の欠如、システム全体ではなく個別問題のみに対する改善の3つを特定した。今回は、こうした失敗に対処するためのフレームワークを紹介する。4本柱からなるこのフレームワークは、大手整形外科用医療機器メーカーが、施設全体の故障モード影響解析(FMEA)改善活動において開発・導入したもので、品質システム全体にわたる約200件のリスクマネジメント文書に基づいている。
持続的に機能するCAPAを実現するためのフレームワーク
以下で説明する4本柱はそれぞれ、第1回の記事で特定した失敗パターンのいずれかに対応し、21 CFR 820.100およびISO 13485:2016の8.5.2項に基づく要求事項を反映しているが、最低限の規制遵守にとどまらず、実務において持続的に機能することを目指している。
第1の柱:根本原因分析の厳密化
すべてのCAPAの原因特定において、最初に考えられる原因だけでなく、そこからさらに少なくとも2段階原因を掘り下げることを求める。この際、概要を簡単にまとめるだけでなく、特性要因図、なぜなぜ分析、故障の木解析など体系的な手法を用いる。根本原因は、別の担当者が同じ証拠を与えられて調査した場合でも、同じ結論に到達できる程度に具体的に記述する。別の工程の別の不具合にも当てはまるような根本原因は、具体性が十分とはいえない。
米食品医薬品局(FDA)は、「不十分な教育訓練」を根本原因として挙げるだけでは不十分であり、なぜ教育訓練が不十分だったのか、あるいは教育訓練を受けていたにもかかわらず、なぜそのミスが起こり得たのかを説明する必要があると明確に述べている。ミスを可能にした工程、手順、設計、システム上の条件を検討せず、人為的ミスという結論で根本原因分析を終わっていては、21 CFR 820.100の要求事項を満たせず、問題の再発も防げない。
