製造業のDXが可視化ではなくデータ照合作業につながってしまう場合とは-2(品証品管ニュース)

品証・品管ニュース

想定どおりには進まない製造工程

デジタルシステムでは、工程が明確な順序に従って段階的に進むものと想定されることが多い。しかし、実際の製造現場はそれほど単純ではない。部品は複数の工程を経て加工され、不具合が後工程で初めて発見されることもある。手直しは頻繁に行われ、スクラップも工程のさまざまな段階で発生する。このように、製造工程は非常に複雑であるため、同じ現象でも、それが記録された場所によって異なるものとして扱われることがある。簡単な例を挙げよう。ある部品が鋳造後、機械加工工程へ送られたとする。その加工中に、不良が発見され部品として使用ができなくなった。鋳造部門から見れば、この不良は加工より前の工程で発生したものである。一方、加工部門は、自工程において発生した不良だと考えている。また、在庫管理上は、その部品はすでに完成品として計上されている可能性もある。各部門は、それぞれのワークフローの中でその事象が発生した時点に基づいて記録を行う。つまり、同じ部品でも、あるシステムでは「生産品」として、別のシステムでは「スクラップ」として、また別のシステムでは「在庫調整」として記録されるという現象が起こり得る。どのシステムの記録も間違いではない。同じプロセスを異なる視点から捉えているに過ぎないからだ。

繰り返されるデータ照合作業

ここから始まるサイクルは、多くの製造業者が経験するものだ。データは自動的に収集され、ダッシュボードに表示される。ところが、生産会議や業績レビュー会議の場で、数値の食い違いが明らかになってくる。例えば、生産部門は生産数を10,000個と報告する一方で、財務部門は在庫数が9,700個であるとし、品質部門は不良品が350個と報告するといった状況が考えられる。そこで、各部門では数値の照合が始まる。製造現場責任者はシフトごとの生産記録を確認し、技術者は不良の記録を調査し、財務担当者は在庫調整の内容を精査する。やがて、原因が判明する。例えば、手直しが発生したこと、不良の発見が後工程になったこと、あるいはスクラップの記録方法が部門による異なることなどだ。問題は、このサイクルが毎月のように繰り返されることだ。照合作業は日常化し、しかもその作業負担は、運用上の定義が部門間で統一されない限り、デジタルシステムによってかえって増大することさえある。