製造部門と財務部門では使用する言語が異なる
このようなことが発生する大きな原因の一つは、製造システムと財務システムでは、事象の追跡方法が異なることである。製造システムは、工程の物理的な流れに重点を置いている。追跡するのは、部品の生産数、発生したスクラップの量、設備の停止時間、仕掛品の移動などだ。一方、財務システムは、原価配分や在庫評価に着目する。多くの会計システムでは、標準原価計算、一括処理、期末調整などの手法が採用されている。そのため、財務上の影響が会計期間の終了まで反映されないこともある。このことで、現場の運用データと財務報告の間に乖離が生じる。例えば、加工中に発見された不良は、直ちに製造システムに記録されるが、財務報告書には原価差異や在庫調整としてもっと後の段階で反映される、といった可能性が考えられる。こうした事象の解釈がシステム間で統一されていなければ、数値に違いが生じることは避けられない。
真の問題はテクノロジーではない
データ照合の問題が発生すると、その原因はソフトウェアが古いことや自動化が不十分であることだと考えがちだ。
しかし実際には、真の問題はもっと単純であることが多い。同じ事象の認識の仕方が部門により異なるのだ。
例えば、製造部門では、部品が設備から搬出された時点で完成品としてカウントし、品質管理部門では、不良を発見した時点でスクラップとして記録する。
さらに財務部門では、在庫調整が行われた時点で初めてその影響を認識する。共通の定義がなければ、
それぞれのデジタルシステムが同じ事象を異なる形で記録することになってしまう。その結果、洞察が深まるどころか、
矛盾する報告書同士を突き合わせて確認する羽目になる。
