欧州委員会の決定は翻訳業界に痛手

世界翻訳ニュース

2016年6月9日、イギリスがEU離脱をめぐる国民投票を目前にしていた頃、欧州委員会はEU市民の公的文書提出に関する新規則の採択を発表した。 これは、2010 年に行われた調査で、回答者の75パーセントがEU加盟国間での公的書類の扱いの改善を望んだことを受けたものだ。

新規則では、これまでEU間の提出書類に関して義務づけられていた公証サービスと翻訳が廃止される。今後はEU加盟国の全言語を記載して作成された多言語標準形式の用紙に記入することによって、翻訳の必要はなくなるという。費用と時間の節約はEU市民には嬉しいかぎりだが、公証サービス業や言語サービスプロバイダにとっては喜んでいられない。年間で7500万~1億ユーロを節約できると委員会は説明するが、この収入をあてにしてきた言語サービスプロバイダは少なくない。