ハンドヘルド型蛍光X線分析計を用いた金属膜厚測定方法 -3

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使用例

 

ファンダメンタルパラメータ(FP)法は汎用性が高い校正法だが、分析前に基材の組成、各層の順序と組成を把握して設定することが必要になる。データ入力は、図A.1の例のように、装置のユーザーインターフェースを介して行う。この最初の例では、基材は低合金鋼、第1層は亜鉛層、第2層はジルコニウム薄膜と設定されている。このようにジルコニウムで被覆された亜鉛めっき鋼は、自動車のボディパネルなどに使用される。亜鉛層が鉄の酸化を防ぎ、ジルコニウムを含む層は耐食性を強化し、塗料の密着性を高める。

 

次は、事前に校正用標準物質を測定せずに測定を1回行った場合の例だ。図A2に示すように、ジルコニウム層(Zr:40mg/m2)と亜鉛層(Zn:82723mg/m2)の分析結果は、実験的手法で取得したZrの値(38mg/m2)およびZnの予測値(80000mg/m2)とそれぞれよく一致している。必要であれば、分析用校正標準物質の既知の値を基に分析装置の感度を経験的に調整する「タイプ標準化」で、精度をさらに向上できる場合もある。

 

最後に、複雑な膜系の分析でFP法を活用できる例をもう1つ紹介する。基材の素材は、膨張係数がガラスに近く、マイクロ波管、パワーチューブ、X線管などのガラス封止に使用される合金「コバール」である。コバール合金には、高い耐食性と耐摩耗性を備えたニッケルーリン合金で無電解ニッケルめっきが施されている。その膜系は複雑だが、それには2つの理由がある。1つは基材も被覆も単純な金属ではなく合金であるということ、もう1つはどちらも高濃度のニッケルを含有することだ。このような複雑性にもかかわらず、FP法の高度なアルゴリズムは、放出(試料の被覆層からの信号)と吸収(試料の下層、つまり基材から発生する信号で、上層による減衰を計算するために必要)のどちらに対しても有効に機能し、図Bに示すように、コバール上の無電解ニッケルの膜厚を正確に特定できる(20µmに対して測定値は18.6µm)。また、この結果は、事前に校正標準物質を測定せずに得られたものであるため、タイプ標準化によって改善できる可能性がある。(-4に続く)

 

 

 

 

※原文記事を機械翻訳+人手校正(ポストエディット)にて作成しております。