なぜアフリカにはこれほど多くの言語があるのか

世界翻訳ニュース

全世界に存在する言語のうち、3分の1はアフリカ大陸で使用されており、その数は実に2000言語以上にのぼるが、アフリカ大陸の人口自体は全世界の7分の1にも満たない。これはヨーロッパの人口が全世界のおよそ8分の1である一方、言語数は300ほどしかないことを考慮すると突出しているといえよう。
アフリカ大陸は世界中で最も遺伝的多様性の残る地域であると言われているが、それは、言語が世界中で最も多様であることと関係があるのだろうか。

現生人類はアフリカ大陸に最も長く居住し、言語をはじめとするあらゆる文化を大陸内に蓄積してきた。歴史的にみてアフリカ大陸では、ヨーロッパのように帝国による少数派言語の吸収・淘汰が少なかったため、多くの言語が現在まで存続したのだろう、とシカゴ大学の言語学者Salikoko Mufwene氏は説明する。

また、アフリカ大陸では、言語間の関係性における非文法的な文の生成を阻止する規制が少なかったため、あるいは、南北アメリカ大陸やオーストラリアのように、ヨーロッパ諸国による植民地化とともにヨーロッパ人が入植しなかったため、言語的多様性の損失が低く抑えられたことが、アフリカ大陸に多くの言語が現在も存在する理由であるとする説もある。