ハンドヘルド型蛍光X線分析計を用いた金属膜厚測定方法 -1

品証・品管ニュース

―利点が多く、品質保証に不可欠なツール、ハンドヘルド型蛍光X線分析計―

 

金属被覆は、金属加工で多用される技術で、装飾的な目的、あるいは金属素材表面の物理的特性や化学的特性を強化する目的で使用される。具体的には、金属の耐食性、耐摩耗性、耐熱性、導電性、密着性、はんだ付け性、潤滑性などを向上させるための処理だ。被膜を過剰に形成すると大幅な製造コスト増につながる一方、被膜が不足すると製品不良が発生しかねない。こうした事態を避けるため、金属表面処理、金属加工、自動車、航空宇宙などの業界では、被膜重量や膜厚を管理し、それにより適切な部品特性を確保しつつ、製造原価を最適化することが非常に重要である。

 

膜厚測定のための非破壊検査技術

 

品質管理を目的として、工程内で金属皮膜の厚さを測定できる非破壊検査技術は数多くある。こうした技術の活用の場としては、金属表面処理業者や、被覆金属を使用する業界の原材料検査工程が代表的だ。鉄鋼上に形成された非磁性被膜の測定には磁気プルオフ式や磁気誘導式の膜厚計、非磁性基材上の非導電性被膜(塗料など)の測定には渦電流式膜厚計が使用される。一方、非金属基材上の金属被膜厚を測定するには、微小抵抗式や超音波式の膜厚計が適している。放射性同位元素を用いるベータ粒子後方散乱法でも、基材上の金属層の厚さ測定が可能だが、基材と被覆層とで原子番号(つまり密度)の差が十分にある場合にのみ使用できる。

 

蛍光X線法(XRF)も金属層の厚さ測定に有効な技術だ。X線管を用いて試料にX線を照射し、被覆層と基材に含まれる元素から放出される特性X線を測定する。測定される信号は元素ごとに異なるため、基材の種類を問わず単層や多層の金属被膜に対する膜厚測定に適しており、他の技術に比べて汎用性が高い。測定可能元素はマグネシウムからビスマスまで。蛍光X線法の最大の弱点は、塗料のような非金属被膜の厚さ測定にある。このような測定には磁気式または渦電流式の膜厚計の方が適している。それでも蛍光X線法では、密度、被覆層の平均原子番号や、使用する放出線のエネルギーにもよるが、数原子層しかない極薄の被膜からいわゆる飽和厚さまで(一般的には6~60μm)、その重量や厚さを測定できる。

 

従来、蛍光X線法は、据え置き型または卓上型装置による膜厚測定に使用されてきた。しかし、据え置き型による分析には、試料を分析チャンバーの内部または近傍に置くことが必要なため、大型や重量部品の測定は、試料を切断しない限り難しかった。現在はハンドヘルド型の蛍光X線分析計が登場し、金属や合金の同定技術として確立されたため、この課題が克服できるようになった。(-2に続く)

 

 

 

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