
最近、「通訳って意外と高いんですね」という声をいただくことが増えてきました。
物価の話題を耳にすることが多い時代だからこそ、
なおさら金額の印象が強く残るのかもしれません。
ただ、有形の商品と違って、通訳という“形のないサービス”は、
どうしても価値が伝わりづらいものです。実は私たち自身も、
初めて数字だけを見たときには「たしかに安くはないよな」と
感じることがあります。
では、この費用の背景には何があるのでしょうか。
■ 通訳者が現場に来るまでの「見えない仕事」
以前、医療機器メーカーの案件で、こんなことがありました。
待ち合わせ場所に現れた通訳者の手には、ずっしりと重そうな専門書。
厚さはおよそ15センチ。ページの端には色とりどりの付箋が貼られ、
書き込みがびっしり。バッグの中からは関連論文のコピーが次々と出てきて、
担当者の方が思わず「ここまで準備するんですか…?」と息をのんだほどです。
通訳者にとっては、これは特別なことではありません。
医療現場で使われる言葉は、一つひとつが専門性の塊。
医師ではない通訳者は、その世界にできる限り近づくために、
ひたすら読み、理解し、自分の言葉に落とし込んでいきます。
そして翌日は、全く別の業界の通訳へ。
「毎日ちょっとした受験勉強みたいですよ」と笑いながら、
資料に向かい続ける通訳者も少なくありません。
こうした見えない努力こそが、現場での一言一句の“正確さ”を支えています。
■ だからこそ、資料をお願いしています
ご依頼の際に、私たちが何度も資料の提供をお願いしたり、
細かな背景を伺ったりするのは、この準備のためです。
通訳者がどれだけその内容に入り込めるかで、
通訳の質は大きく変わります。
資料を読み込み、専門用語を整理し、固有名詞を把握しておくことで、
当日の会話がスムーズにつながります。
その“下準備”が、最終的に通訳の品質につながっているのです。
■ 価値に込められたもの
通訳費用には、当日の数時間だけでなく、
それまでの積み重ねが含まれています。
・専門分野ごとのリサーチ
・資料の読込み
・背景理解のための情報整理
・会議で想定される質疑の準備
・緊張感の高い現場を支える集中力
こうしたプロセスが、見積金額の裏側にあります。
■ 皆さまと一緒に“良い通訳”を作るために
通訳は“無形”のサービスですが、その価値は決して
曖昧なものではありません。
通訳者の努力と準備の積み重ねが、
皆さまの会議・商談・研修を支えています。
だからこそ私たちは、資料のご提供や背景情報の
共有をお願いしています。通訳者がより深く理解することで、
当日の通訳の品質が大きく変わるからです。
費用にご納得いただき、安心してお任せいただけるよう、
これからも誠実にご説明し、最高の通訳体験をお届けしてまいります。
Q&Aコーナー|
Q1. 依頼時に最低限伝えるべき情報は何ですか?
A.以下の4点だけでも、通訳の質が大きく向上します。
- 会議の目的
- 参加者(役職・国籍など)
- 議題・アジェンダ
- 想定される質問や議論の方向性
Q2. 通訳者の「専門分野」はどう選べばいいですか?
A.医療、法務、IT、製造、金融など、通訳者によって得意分野があります。
依頼内容と近い経験を持つ通訳者を選ぶことで、会話の精度が大きく上がります。
Q3:通訳にはどのような種類がありますか?
A: 主に次の4種類があります。
- 同時通訳:話者の発言とほぼ同時に訳す方法
- 逐次通訳:話者の区切りに合わせて訳す方法
- ウィスパリング:少人数向けに小声で同時通訳する方法
- オンライン通訳:ZoomやTeamsなどのオンライン会議で行う通訳
Q4:通訳はどんな場面で利用できますか?
A: 通訳は会議だけでなく、さまざまなシチュエーションで活用できます。
例えば次のようなケースがあります。
- アテンド通訳(来日ゲストの案内、工場見学、視察同行など)
- 研修通訳(技術研修、社内トレーニング、実地指導など)
- 監査対応通訳(品質監査、工場監査、コンプライアンス監査など)
- 商談・打ち合わせ(逐次通訳が中心)
- イベント・セミナー登壇(同時通訳が多い)
- オンライン会議(Zoom / Teams / Webex など)
- 医療・行政・教育などの専門場面
目的や場所によって必要な通訳のスタイルが変わるため、
状況に合わせて最適な方式を選ぶことができます。
Q5:通訳に必要な機材の手配もお願いできますか?
A: はい、可能です。会議やイベントの規模に応じて、
必要な通訳機材をご提案・手配いたします。
赤外線・FM方式の同時通訳レシーバー、通訳ブース、マイク、
ミキサー、オンライン通訳用の音声システムや、エンジニアの手配など、
用途に合わせた最適構成をご用意できます。
設営・撤去から当日の技術サポートまでワンストップで対応しますので、
通訳サービスと併せてご利用いただくことで、よりスムーズで安心な運営が実現します。
