スマート製造による自動化 -3

品証・品管ニュース

自動化実現の究極の目標が品質である理由

 

自動化実現のためのスマート製造技術の導入に関して言えば、品質向上の追求こそが、デジタルトランスフォーメーション(DX)の最終的な目標であり、最も重要な原動力である。半数近く(45%)の企業が、DXの動機として「品質」を挙げている。実際には、品質をDXの最大推進力と考えていないとしながらも、品質向上のための投資に重点を置く企業もあるようだ。例えば、自動化実現のためのスマート製造技術を導入した企業のうち、過半数が生産モニタリング(54%)や品質管理システム(QMS、51%)への投資を優先すると回答している。これは、品質を優先すると回答した企業の割合(45%)よりも高い。

 

品質投資の目標は、単に高品質の製品を生産することではない。持続可能性を向上する取り組みから人材最適化まで、企業運営のあらゆる側面で品質が優先されるようにすることが真のねらいだ。

 

品質を意識した自動化と戦略を推進することで持続可能性を高める

 

品質の向上は企業の持続可能性に直接的な効果がある。欠陥のない製品を製造すれば、廃棄物やエネルギー消費を削減できる。それ以外にも、各種計画の精度を高めることで、材料や部品の調達先企業の質を向上させることも可能だ。持続可能な慣行に取り組んでいる高品質のサプライヤーや取引先を利用できれば、一企業だけでなくサプライチェーン全体の持続可能性が促進される。この点で持続可能性の向上に必要なのは、綿密な計画とそれを実行する時間であり、(前述の予測やデジタル作業指示書の例で説明したような)自動化の助けが必要なわけではない。しかし、いったんスマート製造技術を活用してみれば、無駄の削減につながるような実現性の高い生産計画を、以前よりはるかに簡単で効率的に策定できることがわかるはずだ。

 

さらに人材の最適化も

製造業の大半の企業(90%)は、技術の導入に伴い人材を維持・拡大することを計画している。つまり、製造業者は、技術をどう効果的に活用するかを模索しているのであって、スマート製造技術にはない批判的思考力や背景知識を持つ人間の労働者を技術で代替しようとしているわけではないということだ。

 

特に人手不足の中で人材の価値が高まる中、製造業者にとって、人材の質を高めるために自動化とスマート製造技術を活用するのは正しい方向性だ。大切な人材をつなぎ止め、会社の将来にとって理想的な人材に育てることが重要だ。これには、新しいプロセスや新しい仕事の進め方に関する教育が必要であるほか、インダストリー4.0(I4.0)技術や、間もなく登場するインダストリー5.0(I5.0)技術の最適な活用方法に関する教育も必要だ。

 

自動化と高度な分析を予測に活用

 

表計算ソフトや紙ベースのプロセスなど、従来の方法で在庫予測を行うと、時間や手間といった多大なリソースが必要になる。こうしたやり方でも、将来の需給予測にはアルゴリズムを用いているものの、アルゴリズム自体は静的で変化しないのが一般的だ。一方、機械学習を用いた自動予測では、動的アルゴリズムを活用できる。この場合、アルゴリズムは市場力学、生産実績、業界動向に基づいて自動調整される。最新の業界動向を反映した情報を使用できるため、はるかに高い予測精度が得られる。このように、機械学習を活用した予測では、社内の業務システムや外部の取引先企業から取得した大量の過去データを自動的に分析するため、将来の調達量と生産量の予測可能性が高まる。そして最終的には、納期内の完納率向上につながる。

 

作業指示書のデジタル化とリアルタイム更新を活用した現場の効率化

 

自動化と高度な分析が役立つ場面はほかにもある。従業員と現場設備資産の生産性向上だ。企業特有のニーズに合わせて機能を調整できるスマート製造技術を使用すれば、主要業績評価指標(KPI)や生産性に関する情報や最新状況を現場の従業員と自動で共有することができる。また、クラウド技術や統合基幹業務システムを活用して作業指示書をデジタル化し、現場の作業者に配布すれば、目の前の作業に関連する情報のみを参照できるようになる。様々なシステムやツールから受け取る情報が多すぎるために、かえって手間が増えたり注意散漫になったりしがちな作業者も、このようなデジタル作業指示書があれば、現在の作業に全神経を集中できるようになる。

 

デジタル作業指示書は、通常、作業者のステーションのダッシュボード画面上に表示され、現在割り当てられている作業の進捗状況を示すとともに、作業を完了するまでに必要な残りの手順について具体的に指示する。ダッシュボード上のデータは、施設全体に配置されたプログラマブルロジックコントローラ(PLC)やIoTセンサーからリアルタイムで自動的に取得されるため、作業者が古い情報に基づいて作業を進めるような事態は発生しない。これは生産部門に有益であることは言うまでもないが、保守部門にとっても、デジタル指示書やリアルタイムで更新される情報を利用できるメリットは大きい。機械のダウンタイムやエラーの頻度から最も重要度の高い作業を特定し、機械保守のタイミングをより正確に予測できるようになるからだ。

 

その効果は、企業全体の生産性と納期遵守率の向上だけではない。業務データが可視化されることで、従業員が自分の仕事を一定程度コントロールできるようになる。具体的には、デジタル作業指示書やリアルタイムで更新されるダッシュボードから高度な情報が自動的に得られるため、それを利用することで、過去のデータに基づいて設備性能を調整したり、効率化のための方法を上司に提案したりと、従業員も組織の改善に貢献できるようになるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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※原文記事を機械翻訳+人手校正(ポストエディット)にて作成しております。